自分でも驚くことを、綺麗さっぱり忘れてしまう私。
仕事などの約束は絶対に忘れられないので、リマイダーに入れて、それからアレクサにもお願いして、締め切り直前に知らせてもらうようにしている。
でも、困ったことに、子どもの好きな味がわからなかったりするんです。些細なことだけど、今の私にはとっても重要。
「お母さん、ドーナツ買って来て」と言われて買って来たドーナツの味が、子どもの想像していた味とまったく違うものだったり。
「お母さん、この前私が食べてるの見てたじゃん」とか言われてしまったりする。
でも、見ていた記憶がない。
で、ちょっと落ち込んで主治医に相談してみたのです。(私は「解離性同一性障害の不全型」という診断を受けています)。
私「子どもの好みすらわからないんです。子どもは私が知ってるはずだって言うんですけど、私にはその記憶がなくて」
主治医「あなたの人格たちにもプライバシーがあるからね」
え?ちょ、ちょっと待ってよ、先生!
プ、プライバシーって。
自分のなかにプライバシーなんてあるわけないじゃん!
だって、ほら、体だって一つだし…。一番長く自分と付き合ってきたのって、紛れもないこの私なんですけど。
私の頭の中は「?」でいっぱいになりました。
でもそれは、解離していない場合の話で。
つまるところ、人格たちにも情報共有したいこととしたくないことがあるんだとか。
もうね、最初は信じられませんでした。茶番だとも思っていた。そして、その現実を受け入れたくなくて、本当に何人も「私」がいるのか、実はいないのかばかりにこだわっていた時期もあった。
でも今は、いようがいまいがどちらでもいいのかもしれないと思っていて。むしろ、記憶が抜け落ちていることを受けとめようと。その原因が、主治医の言うプライバシーに関わることなら、一回それを受け入れてみようかと思ったんです。
だから、記憶がすっこーんって抜け落ちてても、とりあえず受け入れてみる。
で、これが今の自分なんだと思うしかないというか、そう思った方が断然ラクだと気づきました。
誰にだってプライバシーはあるけれど、まさか、自分のなかにもあるとはね。